気候変動と木造住宅の居住性
日本の夏は熱帯並に暑く、冬は寒気が厳しいため、人が心地よく健康に過ごすためには、
夏涼しく冬は暖かい住宅が望まれます。
一年間の外気温は最高30度、最低マイナス5度まで変動します。
それが、木造住宅内は28~10度、鉄筋コンクリート造住宅内は30~18度の範囲で、
ともに外気温をかなり緩和しています。
室温を木造住宅と鉄筋コンクリート造住宅で比較すると、住居としてとても都合のよいことですが、
木造住宅は夏の最高気温が低くなっています。
また、冬の最低気温も木造住宅では低いのですが、
居住性からみるとこれも決して欠点ではありません。
冬の最低気温が低い理由としては、
木造住宅の構造が開放的で、熱が比較的逃げやすいことが考えられます。
また、熱容量(蓄積容量)が鉄筋コンクリート造住宅より小さく、
部屋への熱放出が少ないことも影響しています。
これを居住性からみると暖房機器を使用したときに、
木造住宅では室温が素早く上昇することになります。
ところが、鉄筋コンクリート造住宅では、暖房をしてもコンクリート壁などに熱が奪われ、
部屋が暖かくなるまでに時間がかかります。
夏は熱を含んだコンクリートによって、朝方まで室温が下がらないということになってしまいます。
最近の住宅は、温度環境をコントロールしやすくするため、
従来の開放的建築様式から密閉度の高い建築様式に変わりつつありますが、
ダニ・カビの問題はその過程で生じたものであり、
住宅における気候風土性を無視することの危険さを示すものといえます。
日本の住宅はこのことを踏まえた上で、住宅における熱的性能を向上させることが、
住む人の健康から考えても必要です。
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