心持ち材では背割りをした乾燥材を使用するのは、
グリーン材が乾燥すると、材中の水分が減るにしたがって収縮し、
このとき木口面での年輪に沿った方向が年輪の半径方向よりも大きく収縮しようとするからで、
心持ち材の場合には円周方向に大きく引っ張られ、材の表面に割れを生じます。
このような心持ち材の割れは材面のどこで起こるか予測できないし、
材面のあちこちで不規則に割れることがあります。
そこで、あらかじめ材の側面から樹心に向かって鋸目を入れておきます。これが背割りです。
このようにすれば、乾燥によって材が収縮するときでも、背割りが広がるだけで、
不規則に割れが発生するのを防げます。
さらに、経験を積めば、背割りの広がり程度でおおよその乾燥度を知ることができます。
正しい心持ち角材の使い方は、あらかじめ仕上がり寸法よりも大きめに製材し、背割りを行い、
所定の含水率まで乾燥した後、モルダーなどで寸法を仕上げたものを使用します。
最近、無背割り心持ち材の新しい乾燥法が実用化されています。
ただ、仕上がり直後は表面に割れが見えなくとも、表面の材幅方向に引張応力が残留し、
後で割れが発生する可能性があることを知っておくとよいです。
さらに、このような乾燥法では内部割れが生じたり、
材表面に現れる乾燥割れを十分に防ぐことはできないことがあります。
このような割れは不規則な位置に発生するため、
釘の打ちどころによっては、釘が効かないというトラブルも報告されています。
心持ち材を上手に使うためには、
木材の収縮や割れの特徴をよく理解した上で、正しく使うことが重要です。