「樹齢100年かかって育った木は、建物に使ったとき100年しかもたないが、
500年かかって育てた木は500年もつ」といったことが言われます。
これは古建築の修理を多く手がけた人の経験をもとにした一つの比喩と思われます。
ヒノキであれば樹齢100年の木から取った材でも、使い方を間違わなければ500年は十分に使えます。
木は腐りやすく、燃えやすく、何か長持ちのしない材料と考えられています。
しかし、現存している正倉院の収納物(8世紀)や法隆寺(7世紀)があり、
木材はそれぞれの役目を果たしています。
このように、木材は環境条件が整っているときは耐久性が非常に高い材料です。
長年使用した木製品や木造建築が使えなくなる原因は、
腐る、虫に食われる、燃える、材質が劣化して力を支えられなくなるなどです。
これ以外の木材の寿命を縮める原因には、繰り返し乾湿の変化にさらされるときと、
長期間荷重が加わった状態で使ったり、繰り返し力が掛かっているときなどです。
この中でも木材の寿命を縮める原因の最大のものは腐朽です。
木材が腐朽する条件は、水分、温度、空気の存在が揃っているときです。
基本的には濡れた状態、湿った状態で木材を使わないことが大切です。